スリランカ人女性ウィシュマさんの死亡 8月18日法務省弾劾行動に立つ!

お知らせ

スリランカ人女性ウィシュマさんの死亡 8月18日法務省弾劾行動

 8月10日に明らかにされた法務省による最終報告書は、ウィシュマさんの死の真相を徹底的に隠蔽し、真実を闇に閉じ込めてしまおうとする代物だった。しかも18日の朝、NHKのニュースを見て皆が驚いた。1万5000枚の報告書は大半が黒く墨塗で、テレビの画面は真っ黒な報告書を映しだしていた。その上、この真っ黒な報告書についてコピー代15万円余が請求されたという。
 ウィシュマさんの妹さんたちは開示されたVTRを最後まで見ることができなかった。「姉は人間として扱われていなかった! 動物のように扱われていた!」と憤怒の中でこう語る妹さんの怒りを私たちは共有しなければならない。「このビデオはすべての外国人が見るべきだ」と鋭く指摘した妹さんの怒りはいかばかりか。

 私たちは緊急に呼びかけ、法務省に対する抗議行動を行い、参加者は次々に法務省を弾劾した。

 当日はさらに、全国実と牛久入管収容所問題を考える会が抗議文を読み上げた。

2021年8月18日 8月18日の法務省への抗議行動の申入書です。

1、牛久入管収容所問題を考える会

法務大臣 上川陽子 殿
出入国在留管理庁長官 佐々木聖子 殿

抗 議 文

 2021年8月18日
 牛久入管収容所問題を考える会

 当、牛久入管収容所問題を考える会は東日本入国管理センターに於いて長年面会ボランティアをしているNGO団体です。
 8月10日に法務省及び出入国在留管理庁が、スリランカ人女性ウィシュマさんの死亡に関する「最終報告書」なるものを公表しました。この「最終報告書」はおおくの入管にかかわるNGO、NPO、弁護士などにとって1ミリも納得できるものではありません。ましてや姉が入管収容所の中で何故死ななければならなかったのか?知りたくてスリランカから訪れていたお二人の妹さんにとっては尚更のことと思います。

 ウィシュマさんは昨年8月に名古屋入管に収容され、今年1月頃よりは体調が悪化、仮放免の申請をするが認められず、2月頃より自力歩行も困難になり、名古屋の支援者との面会にも車椅子でしか動けない状態でした。すでに2月の尿検査で「飢餓状態」「腎機能の悪化」が数値として出ていました。死亡当日の朝には向精神薬を飲んでぐったりしている ウィシュマさんに「ねえ、薬きまっている」とあたかも覚醒剤常用者にたいするかのような侮蔑的な言葉が職員によって投げかけられてもいます。再三にわたり病院の受診を訴える彼女に対し「仮放免狙い」と取り合わなかった名古屋入管。名古屋入管によって「殺された」のです。お二人の妹さんに見せられた名古屋入管によって撮影されていたビデオ映像、ショックで最後まで観ることもできませんでした。「姉は動物のように殺された」。

 「最終報告書」は、入管庁主導で作られた人権意識のかけらもないものです。そして、「人の命を預かる行政機関としての緊張感や心のこめ方が不十分だった」として名古屋入管の局長、次長を訓告、警備管理官ら2人を厳重注意処分としました。
 人一人の命を自らの「懈怠」によって奪っておいてこの責任の取り方はあるのか? 安倍政権時代から上川法務大臣の下で、4人の被収容者が死亡しています。佐々木長官になってから2019年の大村入管でのナイジェリア人サニーさんの飢餓死に続いて3人目の犠牲者です。

オリンピックための外国人対策として長期収容を強制し、今また廃案になった「入管法」の次期国会に再上程をあけすけに語る上川法務大臣、佐々木長官はまず一番先に辞職すべきです。あなたたちに人の命を預かる資格はありません。

 

2、外登法・入管法と民族差別を撃つ全国実行委員会

法務大臣 上川 陽子 殿
出入国管理庁長官 佐々木 聖子 殿

 2021年8月18日
 外登法・入管法と民族差別を撃つ全国実行委員会
 東京都港区新橋2-8-16 石田ビル4F
  Tel 090-1258-6201

 8月10日、ようやく法務省による最終報告書が明らかになりました。しかし、その報告書は最終などというものに値しないものでした。
発表された最終報告書は、ウィシュマさんの死因さえ特定せず、複合的な要因による「病死」とし、ウィシュマさんの死と入管収容との因果関係すら認めませんでした。これでは第二、第三のウィシュマさんが入管に殺されてしまいます。

ウィシュマさんは、「病死」などではありません。体重減少、脱水、多臓器機能障害など、これは入管による医療放置、虐待で殺されたということにほかなりません。救える命が、見殺しにされたのです。

最終報告書は、入管の自作自演、責任逃れの代物です。再発防止のためには、入管から完全に独立した第三者委員会による徹底した調査が行われなければなりません。真相を究明し、上川法務大臣、佐々木入管庁長官をはじめ責任者を処罰しなければなりません。

 法務省・入管庁は、外国人を意のままに強制収容し、上限もない無期限収容を強いるばかりか、難民申請者や家族と日本で暮らしたいなどの事情で帰国を拒否している外国人に対しては、医療放置や虐待などをも駆使して強制退去を迫っているのです。あまりの傍若無人な人権蹂躙、収容された外国人は口々に「入管での私たちの扱いは動物以下だ」と訴えています。ウィシュマさんの妹さんたちも、「姉は人間として扱われていなかった!」と弾劾しています。2007年以降だけでも17人の外国人を死に追いやってきた入管を今こそ解体しなければなりません。

私たちは最終報告書を弾劾し、真実を明らかにすることを要求します。ウィシュマさんが亡くなるまでを撮影したビデオの全面開示と真相究明、謝罪・責任者処罰を求めます。真相究明を掲げて闘い続けるウィシュマさんの妹さんたちと固く連帯し、法務省と入管局を徹底的に弾劾し、抗議します。