仮放免求める女性収容者に集団暴行
4月25日、外登法・入管法と民族差別を撃つ全国実行委員会が呼びかけた東京入管包囲デモは、東京労働組合交流センターの労働者をはじめ各地の合同労組・ユニオンなど150人の結集で闘いぬかれた。「すべての被収容者を今すぐ自由に! 命を守れ!」の訴えは、収容されている外国人に届き、感動的な交歓となった。
しかしこの日、東京入管の収容施設内で仮放免不許可に抗議していた女性たちが、午後5時すぎ、入管職員による集団暴行を受け、懲罰房に隔離されるという事態となった。女性たちの抗議行動は、声も出さず、紙やTシャツに「外に出して」などと書いて訴えるサイレントデモであり、要求は責任者との面会だった。「フリータイム」終了後も帰室を拒否する女性たちを力づくで居室に戻し、鍵をかけようと50人もの職員(女性職員だけではなく、男性職員も!)を動員し、襲いかかったのだ。絶対に許すことはできない。
5月13日、国会議員らが入管施設内のコロナ対策と、この暴力事案について出入国在留入管庁に対する公開ヒアリングを行った。
「閉鎖空間」「三密」対策のマニュアル
4月7日に安倍政権が「緊急事態宣言」を発令した後、森まさこ法務大臣は、「今般の新型コロナウイルス感染拡大、緊急事態宣言を受けての対策として、仮放免を柔軟に活用する」(4月14日)と公言。実際に、4月15日現在1209人だった全被収容者が30日には910人となった。しかし、難民申請者や日本に家族がいるなど、さまざまな事情を抱え、長期収容されながらも帰国できない人々に対しては、仮放免不許可が出ている。仮放免の可否による被収容者の分断そのものだ。この分断攻撃に被収容者の怒りが爆発しているのだ。
4月30日、宮﨑法務大臣政務官が座長を務める「入管施設感染防止タスクフォース」が「入管施設における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」を策定、翌5月1日に全国の入管施設に通達された。構成員には元自衛隊化学学校長、成田空港会社取締役らが名を連ねており、これを見ても人命よりも、あくまで外国人への治安管理強化を図ろうというものだ。
しかし、全文が公表されたマニュアルを見ると、「入管収容施設は、閉鎖空間であり、ひとたび新型コロナウイルス感染症の感染が発生した場合、感染拡大の危険性が特に大きい」と認めざるを得ず、「密集等の回避及び収容余力の確保」の方策として「仮放免を積極的に活用すること」が明記されている。
また、法務省が法令で定めた被収容者処遇規則17条には、非常災害時に所長権限で被収容者を「一時解放できる」とある。危険な「閉鎖空間」「三密」の入管収容施設から全被収容者を今すぐ解放せよ!
生きるために逃れた日本で長期収容
「政治的迫害、経済的迫害を逃れて、生きるために日本に来たことが、犯罪なんですか! 日本政府のやり方は、どこの政府よりも卑劣だ」(4月25日、動労千葉・田中康宏顧問)
現在、被収容者と仮放免者を合わせても約3千人、入管はことさらに「送還忌避者」と規定し、「一刻も早い送還を期すべき」「それが長期収容問題を解決する道だ」と強弁しているが、彼らは難民であり、さまざまな事情で日本にしか居場所のない人々だ。日本で生まれ育った子どもたちをどこに追放するというか!
日本は難民受け入れを拒否しているに等しい。昨年は難民申請者1万375人に対し、難民と認定したのは44人、「人道的配慮」で在留を認めた37人を合わせても81人。ここに国際的非難を浴びる日本の人権レベルが示されている。
4月27日からは被収容者への面会が弁護士・領事館職員のみとなり、家族・友人の面会が禁止された。被収容者を孤立させてはならない。怒りを行動へ、ともに生きるため闘いに立ち上がろう。
コロナ事態によって、この社会の矛盾が暴かれた。今こそ、労働者の国際連帯が力を発揮する時だ。人が人として生きることのできる社会を闘いとろう。