全国国実通信 第32号 2017年4月1日

全国実通信

打ち破ろう分断!取り戻そう団結!
民族差別・排外主義と入管体制を打ち破り 全世界の労働者は団結しよう!
発行 外登法・入管法と民族差別を撃つ全国実通信
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全国実通信 第32号 2017年4月1日 newsNo0032.PDF

米日韓の朝鮮核戦争を許すな! 労働者の国際連帯の力で戦争は止められる!

(写真 韓国・星州に5000人が結集、サード阻止を闘う【3/18】)

(写真 福島県郡山で反原発を誓った1100人【3/11】)

2017年東西交流集会の成功かちとろう!  4・16関西集会(大阪市東成区民センター)  4・23全国集会(横浜市鶴見公会堂)

民主労総訪日決定!

今号の内容

◆東西交流集会に結集しよう
◆韓国、パククネ大統領罷免!
◆3・5国際婦人デー集会<広島>
◆ソウルで3・8女性労働大会
◆家族引き裂くチャーター機強制送還許すな
◆東京入管で何が起こっているのか
◆今年もネブロースを開催
◆入管動向

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朝鮮戦争阻止! 始まる前に戦争を止めよう!

東西交流集会に結集し、国際連帯の前進かちとろう!

 私たちは2017年東西交流集会を「朝鮮戦争反対! 始まる前に戦争止めよう!」をメインスローガンに掲げた日本人と在日・滞日外国人労働者の総決起の場として開催します。第26回関西交流会は4月16日に大阪市立東成区民センター小ホール、第28回全国交流集会は4月23日に横浜市鶴見公会堂で開催します。

韓国の労働者に続こう!

 韓国では、ついにパククネ大統領罷免という歴史的勝利を実現しました。昨年10月のパククネ─チェスンシルゲート発覚から始まった「パククネ退陣」を掲げたキャンドル集会は134日間、延べ1600万人が参加する巨大な人民決起でした。
 この闘いを先頭でけん引した民主労総は「政権交代では何も変わらない」と宣言し、すでに6月ゼネスト方針を決定し、全国の職場での組織戦に入っています。また5月9日の大統領選挙に対しても既成の野党候補ではなくパククネ退陣を実現した行動の中から自分たちの大統領を作るとして闘っています。闘う労働組合のもとに団結し、腐りきった社会を変えていこうとする労働者と全民衆は、さらに社会の根底的変革に向かって闘いぬいています。

米韓日軍事演習は戦争そのもの

 3月から開始された米韓合同軍事演習は朝鮮戦争の危機をますます増大させています。3月15~19日、米のティラーソン国務長官が、日本、韓国、中国を緊急歴訪し、過去20年の対北朝鮮政策は失敗だったと総括し、武力行使(戦争)に踏み出す意図をあらわにしました。ティラーソンは、日中韓に北朝鮮への先制核攻撃や「斬首(ざんしゅ)作戦」への同意を取り付けようとしました。史上最大の米韓合同軍事演習は、自衛隊と米軍との共同訓練も激化させ、文字通り米韓日の戦争訓練となっています。これに対して北朝鮮・金正恩(キムジョンウン)体制は激しい危機感を抱き、ミサイル発射を行うなど、軍事挑発を強めています。
 こうした戦争情勢の切迫に対して、韓国の労働者民衆は、3月18日には「サード(高高度迎撃ミサイルシステム)配備強行阻止のための緊急全国集中平和バス」を仕立ててソンジュ(星州)に結集し、「サードは去れ! 平和よ来い!」と確信も固く闘いぬきました。
 韓国の労働者階級と団結して、日本でも動労千葉、動労水戸を先頭に第2の国鉄分割・民営化の攻撃に反撃する春闘ストライキが闘われています。

入管体制を粉砕しよう

 昨年、日本で難民申請した外国人は1万901人になりました。しかし、難民と認定されたのはわずか28人です。2月にはチャーター機による強制送還が強行されました。
 また福島の除染作業に「ビザが延びる」「ビザがとれる」などとだまして難民申請中の外国人たちが動員されていた事実が明らかになっています。
 安倍政権の戦争政治の中で国内治安管理の一環としてある入管攻撃はますます激しくなっています。共謀罪法案にも対象となる罪の中に入管法と入管特例法が盛り込まれました。日本の入管体制こそ、トランプ以上の徹底した外国人差別・排斥の極致なのです。
 私たちは、この間ともに入管集会をかちとってきた「朝鮮戦争に反対する在日朝鮮人の会」とともに◆朝鮮戦争反対!始まる前に戦争を止めよう!◆民主労総ゼネスト連帯! パククネ打倒!安倍打倒!◆日本軍軍隊慰安婦問題の日韓合意破棄!◆生きるために団結して闘おう!の4点を掲げた賛同署名を始めました。今年東西交流集会は、この在日署名をもって団結を拡大し、始まる前に戦争を止める闘いそのものです。
 私たちは、社会を動かしている労働者が団結して闘えば、始まる前に戦争を止め、新たな社会をつくることができると確信しています。今こそ「打ち破ろう分断! 取り戻そう団結!」のスローガンを実践する時です。差別・排外主義の極悪の扇動者─安倍と並んで都知事小池は韓国人学校貸与予定地の白紙撤回を行い、「都民ファースト」で差別・排外主義を扇動しているのです。

団結して集会に結集しよう!

 すべてのみなさん! パククネの大統領罷免を実現し、新たな社会を建設しようと闘いを推し進める韓国の労働者人民と固く団結し、4月東西交流集会に結集しましょう!
 分断を打ち破り、団結を取り戻して闘い、新しい社会を私たちの手で実現する闘いを前進させましょう!

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(写真 勝利に歓喜する韓国の労働者たち)

パククネ退陣! 次は安倍だ!

労働者人民の力で実現した歴史的勝利

 3月10日、韓国の憲法裁判所はパククネの大統領罷免(ひめん)を全員一致で決定。弾劾訴追事由5点のうち、セウォル号事件への責任やブラックリスト作成への直接関与など3点は「証拠不足」として認めなかったが、チェスンシルによる国政介入と利権問題について「大統領としての地位と権限を濫用(らんよう)した」と認め、罷免の理由とした。
 次いで3月27日、検察庁がパククネの逮捕を決定した。
 そもそも憲法裁判所は反動の牙城(がじょう)であり、2014年には国家保安法による統合進歩党解散の大弾圧を強行した機関だ。その同じ判事による今回の決定は、体制の崩壊、支配の崩壊そのものだ。民主労総を先頭とする100万人民の決起がもぎりとった勝利だ。
 「闇は光に勝てない。偽りは真実に勝てない。私たち皆が細々と超えに出していたその小さな叫びが、巨大な喚声となり、野火となり、民衆の意志が、主権者の力が山岳のように隆起することを私たちは見た。私たちが成し遂げた。皆さん、私たちが勝った!」(退陣行動代表)
 「財閥解体」「戦争阻止」を柱に、人民内部のあらゆる要求が、新自由主義打倒、社会の根底的変革を求めて一つの流れになろうとしている。日本の闘いの前進こそが、民主労総の決起を支え、展望を開いていく。確信と決意をもって闘おう!

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(写真 平和公園まで意気揚々とデモ【3/5広島】)

国際婦人デー広島集会での発言

労働者の力信じて新たな社会を

城西(ソンソ)工団労働組合委員長 金 喜貞(キムヒジョン)さん

 今年も3・8国際婦人デーを記念する闘いが各地で取り組まれました。韓国でも年々3・8闘争の取り組みが活発になっています。
 3月5日、広島集会は部落解放運動の拠点であり在日朝鮮人も多く居住する福島町で開かれました。集会は広島連帯ユニオンと強い国際連帯の志で結ばれた韓国・大邱(テグ)の城西工団労組金喜貞(キムヒジョン)委員長と民衆行動の崔善姫(チェソンヒ)さんの参加を得て、大成功し、平和公園までデモを闘い取りました。
 3年前、セウォル号304人の国民が海で死闘を繰り広げていたとき、大統領は胎盤注射を打ちながら美貌を作っていました。あの時すでに多くの人々が大統領に失望しましたが、彼女の支持率は40%を維持しました。
 304人の死、セウォル号は始まりに過ぎませんでした。朴槿恵(パククネ)が大統領になる前から一緒に生活して来た崔順実(チェソンシル)を始めとした側近が、政府政策に介入し、財団法人ミルとKスポーツを設立して三星とロッテなど大企業から数百、数千億ウォン以上の賄賂をもらいました。国民の家計借金が1300兆ウォンを超え、1日に40人が自殺をして、1日に7人が散財で死んでいく大韓民国で大統領と政治家たち、資本家にとって重要なことは国民の生命ではなかったのです。
 このようにしてつくられたのが鉄道と医療など公共部門の民営化と成果退出制(低成果者解雇)です。労動者派遣法の許容職種をもっと拡大して、非正規職を一般化して、全国教職員労組を法外労組にしました。民主労総を破壊するために労働法改悪を狙い、アメリカと日本が望むとおり星州(シンジュ)にサードを配備させました。国定教科書を作って高木正雄と呼ばれる自分の父親、朴正煕(パクチョンヒ)大統領を神格化して日本の韓国支配を正当化しようとしました。崔順実のタブレットPCで明かされた瞬間、韓国人は怒り、朴槿恵の支持率はあっという間に6%以下に落ちました。
 昨年11月から昨日3月4日まで朴槿恵大統領拘束を要求する19回目のろうそく集会がありました。日本の同志は、どうやってあのようにたくさん集まることができるのか、とおっしゃいます。明らかなことは労働者と民衆の血の涙や闘いがあったから可能であったということです。朴槿恵が当選した直後、これ以上希望を見られないと10人を超える闘う労働者が自決を選択しました。雇用者側の弾圧が恐ろしかったのではなく民主労組を立ち去る仲間をこれ以上見られなかったのです。
 民主党政権は1997年にIMF(国際通貨基金)を理由に整理解雇制を取り入れて非正規職法を作り、韓米FTA(自由貿易協定)、労働組合に損害賠償請求、イラク派兵など経済危機のすべての責任を労働者民衆に擦りつけました。その期間に30人余りの労働組合の烈士が発生しました。そのころ民主党は「もはや死で抵抗した時代は終わった」と烈士の名誉を汚して民主労組に無条件降伏を要求しました。
 世の中を変えるという闘いをする人に年齢は重要ではありません。整理解雇撤廃を要求して闘う双竜自動車の労働者。9人の解雇者を諦めずに法外労組になった全国教職員労働組合。裁判所によって2番目に正規職転換判決を受けたが、非正規職を正規職化せよと闘う現代自動車の非正規職労働者。本当に言葉で言い表せない労働者と労働組合の闘いがあったから現在の労働者民衆の団結が可能であると思います。
 また、施設から抜け出して地域で一緒に生活することを要求して全国障がい者の同志たちがソウル光化門地下鉄の駅で闘争してから1500日が過ぎました。韓国で一番力強い集会隊伍と言えば彼ら彼女らです。私たちはいつもこの同志たちに学んでいます。
 2015年11月、警察が撃った放水銃に当たって亡くなったペクナムギ農民、彼の叫んだ掛け声は米価21万ウォンという大統領選挙公約の履行でした。全国農民会はペクナムギ農民の葬儀が終わりではなく農民の生存権を守るための闘いの開始だとして、責任者を処罰するために最後まで闘争することを決意しました。
 民主労総ハンサンギュン委員長、拘束されてから1年が過ぎています。ハンサンギュンは民主労総委員長というだけではなく1500万労働者の委員長であるから、彼を監獄から救い出すことは韓国の労働者皆の任務です。
 昨年11月から始まった民衆総決起と19回にわたるろうそくの闘いを「町の政治」「広場の政治」と呼びたいです。この政治はまさに労働者民衆の終わりのない闘いの結果で、諦めずに闘うときだけがいつかその姿を現わすと思います。
 一番目は本当の民主主義は何なのかについてです。朴槿恵だけ退いてもだめなのです。本当の民主主義は労働の価値がまともに見返りを受けるのです。障がい者の移動の権利と生存権が保障され、農民が安定した生活を保障される。これが本当の民主主義ではないですか?
 二番目は非暴力についてです。ペクナムギ農民が警察暴力によって犠牲となったのに、警察のバスに花をさして抱擁する人々が多いです。これが本当の平和でしょうか?
 三番目は労働、労働者、労働組合についてです。労働組合が従北、親北朝鮮の共産主義者というイデオロギーが幼い頃から根深く差し込まれているから、町で労働組合の話を聞くことをいやだという人々がいます。頭の中にある思想のため監獄へ行った人々も多いです。どう乗り越えなければならないでしょうか。
 四番目は朴槿恵でさえなければよいのかという考えです。5月に大統領選挙があります。新自由主義に対する反対、資本主義に対する反対を確かにする人が大統領でなければなりません。
 最後に、たくさん集まることも重要ですが、本当に重要なことは最後まで闘争するという精神だと思います。動労千葉の同志たちの闘いと広島連帯ユニオンの同志たちの闘いを学んで、昨年城西工団労働組合の4人の労働者が長期間ストライキ闘争をしました。工場閉業によって整理解雇があったが皆復職したし、2人の新規組合員も生まれました。この闘いのため、資本家に城西工団労働組合はいい加減に扱ってはいけない労組という考えを持たせました。これがまさに労働者のもっと大きな力ではないでしょうか。
 みなさん、労働者の中で女性は賃金と雇用などで差別を受けています。その差別は労働解放の社会、新しい社会で100%解決されると思います。「親を恨め! 金も実力だ」と話す資本の世襲にけりをつけて労働者民衆が主人となる社会に向けて一緒に進軍しましょう。(一部省略しました)

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ソウルで3・8女性労働者大会が開かれる

 3・8世界女性デー闘争が光化門広場で勝ち取られた。大会に引き続き性差別賃金格差に反対して鍾路一帯をデモした。女性労働者の賃金が男性100とすると64にしかならないとして午後3時以降が無給になっていることを告発、一斉に午後3時に退勤してデモを闘い取った。(写真上=光化門の女性労働者大会。下=退勤デモ)

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 家族引き裂くチャーター機での強制送還を許すな

 2月20日、法務省は昨年9月に続き6回目となるチャーター機を使った強制送還を強行、タイ人32人とベトナム人10人、そしてアフガニスタン人1人の43人が送還されました。
 2月21日に法務省は、「今回送還したのは2~61歳の男女で、訴訟中や難民申請中の人は含まれない」と発表しました。これまで5回のチャーター機送還では、入管に難民申請者を呼んで難民申請不許可を伝え、その場で収容、即、チャーター機に乗せて強制送還するという無法なやり方が繰り返されてきました。
 法務省によると、今回送還さ れた2歳から61歳までの男女43人のうちの14人が送還を拒否していた人でした。43人の中には、日本に15年以上の長期滞在者が7人含まれ(最長者は滞在25年9ヵ月)、また日本に法律婚をした家族を残している人が7人、日本で庇護を求め、過去に難民申請をしていた人が2人、就学前の子どもが2人含まれていたとのことです。彼・彼女らは、一斉送還の直前に収容されたり、あるいは送還を告知されており、家族や代理人にも連絡がとれ ないまま送還されました。
 今回、永住者であるタイ人女性と結婚し、日本国籍の子どもと家族として暮らしていた50代のタイ人男性が強制送還されました。01年に来日したこの男性は、牛久の東日本入管センター(通称・牛久入管)を仮放免で出た後、東京入管(通称・品川入管)に再収容されていました。しかし、彼は日本で家族とともに生きていくことを強く望んでいたのです。子どもから父親を奪い、家族を引き裂くことなど絶対に許すことはできません。
 法務省も「滞在期間は最長で25年9カ月だった」と発表していますが、人生の半ば以上、日本の建設業などで働いてきた労働者を追い出したのです。今、オリンピックに向けて外国人労働者を呼び込んでいますが、用がなくなったらお払い箱という非情な日本の外国人労働力政策がここに示されています。
 送還されたアフガニスタン人男性は「全責任は日本政府にある。ビザを出すべきだ」と仮放免も申請せず、牛久で少なくとも5年を超えて収容されていた人です。
 また、今回送還された庇護希望者の中には、異議申し立て棄却決定の告知からわずか24時間以内に送還するなどにより、被送還者から難民不認定処分取消訴訟を提起する機会を奪いました。これは憲法第32条で難民申請者にも保障される「裁判を受ける権利」を剥奪するものであり、また、裁判所による最終判断が下されていないにもかかわらず、難民である者もしくは帰国すれば拷問等受ける可能性のある者を送還する点で、 難民条約第33条及び拷問等禁止条約第3条の定める「ノンルフールマン原則」に反するものであり、憲法上、国際条約上到底許されるものではありません。
 また法務省は、送還のプロセスにおいて「送還を安全かつ確実に実施するため、必要最低限の手錠を使用した」と説明しています。しかし今回の送還においては、送還希望者29人にも送還拒否者と同様に手錠が使用されたという事実が明らかになっています。
 入管は、「不法滞在者を大量に、また確実に、安価に、送還できる」とチャーター機送還を開始しました。当初、年間3千万円で200人の送還を予定しました(1人当たり15万円)。しかし第3回32人は1人120万、第4回22人は1人159万円と、人数が少ないうえに個別の強制送還よりも格段に高額となっており、コストの面からの批判も出されています。
 チャーター機による強制送還について、法務省は来年度も続けようとしていますが、人道的にも許されることではありません。

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東京入管収容所で何が起きているのか

 この間、牛久入管収容所問題を考える会の面会行動に学んで、東京入管収容所を考える会も本格的に収容所への面会行動にとり組んでいます。
 最近の入管関係の動きについていくつかまとめておきたいと思います。まず第一に、4月から女性が東京入管に集中的に収容されるということになって、現在、牛久に収容されていた女性達が移管されてきています。なぜなのか理由は明らかにされていません。しかし面会に行こうという家族や友人達にとって、このように分けて収容することが何一つプラスにはなりません。法務省は収容者と家族・支援者との関係を分断し密室支配しようとしているに違いありません。
 第二に、この間、仮放免者から入管の戸別訪問を受けたことが報告されています。入管と名乗る人間が2~3人で仮放免者の住居にやってきて、部屋の中を見せろと言って同意書へのサインを求め、部屋の中の写真を撮ったりしていくとのことです。居住実態と、仕事をしているかどうかの確認のためにこうしたことをやっているようです。しかし、仮放免者達にとっては非常な抑圧となっています。実際にこのことによって仮放免が取り消され再収容された人もいます。
 第三に、難民申請の窓口が非常に混んでいて、早朝から並んでも、その日に受け付けられるかどうかわからないという状況になっています。昨年1年間で初めて1万人を超え、1万901人が難民申請をしました。しかし現状を見ると、入管の事務能力が追いついていないだけで、1万人をはるかに超える人々が日本で難民人英を求めているということなのです。
 こうした現実を背景にして東京入管収容所の収容者は増加しています。昨年秋以降、クルド人の再収容が増加、現在東京入管に20人を超えて収容されています。
 Aさんは日本人とのけんかの現場にいて、逮捕。後日、殴っていないことが明らかになり釈放されたが、その後、仮放免更新のときに取り消しとなりそのまま収容。理由は届を出さずにけんかの現場である他県にいたため。
 3回目の収容のBさんは住居に入管職員が来て、写真を撮っていった後、翌月の仮放免更新の時に、仕事をしたことを理由に取り消しとなり収容されました。
 被収容者は健康を害しており、治療を要求してもほとんど放置されています。またいつ出られるか分からないままで長期に収容されるストレスで病気になる人も多いのです。
 面会行動で、明らかになる収容者の現実は、日本の入管体制がいかに残酷で人間性をふみにじるものであるかを突き出しています。具体的行動で、入管の壁を一つずつ打ち砕き、滞日・在日外国人とさらに団結をつくり出しましょう。 

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今年もネブロースをたたかいとったクルド人

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入管動向17・1~3月

1/12  昨年末、少女像が設置された後、釜山を訪れた日本人客が増加。12月31日から1月10日までに1万3815人で前年比32・2%増加。
1/27  オーストラリアは、顔認証や虹彩認証、指紋認証による自動化出入国管理システムを導入する5カ年計画を発表。
1/30  厚労省が外国人雇用の届け出状況を公表。昨年10月末時点で外国人労働者数108万3769人で07年に届け出が義務化されて以降で過去最多。中国が34万4658人、ベトナム、フィリピンと続く。前年からの伸び率ではベトナム、ネパールが高い。留学生や技能実習生の割合が高い。
1/30  安倍首相、米の入国規制に対し「コメントする立場にない」と容認。
2/2  難民認定の申請が、全国8か所の地方入管局でも判断できるようにする。地方の入管局で「明らかに難民にならない理由での申請」を不認定とすることで審査時間の短縮化を図る。
2/10 昨年の難民認定申請者が初めて1万人を超え1万901人、前年に比べ3315人(約44%)増加。申請者の出身国は79カ国。インドネシア、ネパール、フィリピン、トルコ、ベトナム、スリランカ、ミャンマー、インド、など。認定者28人、認定されなかった者7492人。
2/13  北朝鮮・金正恩の異母兄金正男がマレーシアで毒殺。3月15日、マレーシア政府は本人であることを公表。01年、金正男は東京ディズニーランドに行くため日本に入国し入管に拘束された。この時に採取された指紋情報がマレーシア政府に提供され、身元確認の根拠の一つとなった。
2/16  群馬県知事、ベトナム・ハノイを訪問。ベトナム人技術者や技能実習生の育成、活用で包括的に連携するとの覚書に調印。質の高い外国人労働力を確保し「県内経済の活性化につなげる」。
2/20  チャーター機による強制送還強行。通算6回目。(6ページ参照)
2/28    今国会に提出する国家戦略特区法、構造改革特区法の改正案の全容が明らかに。農業での外国人の就労解禁など9項目の規制緩和を進める内容。一定以上の技能があることを条件に外国人が農業に従事できるようにするほか、アニメなどを日本で学んだ留学生や、ホテルなどで訪日客に対応できる外国人が働きやすくなるよう、在留資格の取得条件も緩める。
3/1  「共謀罪」全容が明らかに。入管法・入管特例法違反も共謀罪の対象に。
3/2  千葉県銚子市の路上で昨年12月25日未明にベトナム人男性が刺殺された事件でタイ人研修生3人を逮捕。
3/9  茨城県警が組織改編。19年の茨城国対や東京オリンピックに向けた警備態勢。国際テロリズム対策を担う外事課の情報収集・分析、警戒監視能力を高める。
3/9  技能実習生をめぐる労災事故が増加。14年度が1241件で以来毎年100件超ペースで増加。過去10年で1割減った日本人の事故と対照的。3K職場の危険な作業が多い上、数ヵ月の日本語教育では安全保安上、不十分で事故につながっている。
3/10  伊豆漁協(下田市)、17年度からミャンマーの技能実習生受け入れ方針決定。ミャンマーの実習生を漁業で受け入れるのは全国初。
3/11  日本語学校「東日本国際アカデミー」(栃木県足利市)のベトナム人留学生4人を不法就労させたとして入管法違反(不法就労助長罪)に問われた同校理事長と人材派遣会社「東毛テクノサービス」に判決。理事長に懲役2年執行猶予3年罰金200万円。派遣会社にも罰金200万円。3/16  国土交通省航空局、訪日客の地方誘客に取り組む地方空港を「訪日誘客支援空港」に認定し、地方空港への国際線ネットワーク充実を図る。
3/16    新宿署留置中のネパール人、東京地検で取調中に意識を失い死亡。留置場で暴れたためベルト手錠で手を腰に固定。脚を縛るなど拘束されていた。。
3/17  本年1月1日現在の「不法残留者」総数は6万5270人、昨年より2452人増加。「不法残留者」の多い国・地域は韓国、中国、タイ、ベトナムと続く。
3/19  横浜港へのクルーズ船の就航増加に向けて大黒埠頭に暫定的な税関・入管・検疫施設を整備する。

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インフォメーション

◆パククネ大統領罷免をもぎりとった韓国の労働者人民。「財閥解体」「戦争阻止」で新しい社会を実現する闘いへと進んでいる。11月に巨大な人民の渦の中で「パククネ退陣」とコールすると「安倍打倒」と応えた労働者人民の突き抜けた笑顔を思い出す。国際連帯の醍醐味だ!
◆今年も交流集会を東西で全力で準備しています。全国集会は金元重さんの講演。かつて金さんを政治犯に仕立て、拷問を加えた指揮者が今、パククネに連なって逮捕されているキムギチュンだ。歴史が巡り、今や悪行が暴かれている。
◆入管体制が日々激変しています。クルドの青年たちの再収容が続き、身体の不調を訴えています。面会行動はそうした現状に風穴を開けています。どうぞみなさんの参加をお持ちしています。面会したいと思う方はご連絡下さい。
◆4月8日、交流集会に向けた実行委員会です。亀戸文化センター午後6時半。ご参加を!(そ)